明治美術学会

学会員による展覧会情報

2013年度





国際シンポジウム 「パシフィック・クロッシング―白山谷喜太郎と日米文化交流」


主催:公立大学法人金沢美術工芸大学、金沢21世紀美術館
助成:吉野石膏美術振興財団
後援:近代国際陶磁研究会、ジャポニスム学会、東洋陶磁学会、明治美術学会


日時:2013年11月23日(土)・24日(日)


プログラムはこちら
http://cargocollective.com/PacificCrossing/Press-release



企画趣旨: 1太平洋を挟んだ日本とアメリカは遠くても隣国である。両国にとって近代化は経済的に、文化的に西洋の規範を脱して自立する筋道だった。金沢出身かと思われる白山谷喜太郎はアメリカのルックウッド製陶所で陶画工として成功を収めた。新興中産階級の美意識に日本趣味が訴えるところは大きかった。じっさい、多くの日本人が海を渡り、また日本文化に熱中する多くのアメリカ人が現れた。この両者の交流とそこから生まれたものは今日の混迷期にあってこそ、なお学ぶべき価値があるのではないだろうか。





没後100年 徳川慶喜展

徳川家康公顕彰400年記念事業
没後100年 徳川慶喜展


主  催  静岡市、静岡市美術館、指定管理者(公財)静岡文化振興財団、静岡朝日テレビ


会 期 :2013年11月2日(土)~12月15日(日)
休館日 :月曜日 [11月4日(月・祝)は開館、翌5日(火)休館]

入館料 :一般 1100(900)円 大高生・70歳以上 700(500)円 中学生以下無料
     ※( )内は前売りおよび当日に限り20名以上の団体料金
     ※障害者手帳等をご持参の方および介助に必要な方は無料



 大正2年11月22日、最後の将軍・徳川慶喜(1837―1913)は76年の生涯を閉じました。彼は30歳の時、江戸幕府の政権を朝廷に帰し、近代国家創設に大きな役割を果たしました。これを機に、慶喜は生まれ変わります。
維新後30年間過ごした静岡では、前将軍という政治性を消し去るかのように、銃猟や囲碁、謡、刺繍、自転車、当時最新の油彩画や写真術に没頭しました。その歩みは、彼を政治家から文人へと変貌させ、文化面に大きな足跡を残すことになったのです。
没後100年にあたる今秋、徳川慶喜家第4代当主・德川慶朝氏のご協力のもと、松戸市戸定歴史館と静岡市美術館は、共同で歴史と美術の両面から慶喜に迫ります。慶喜の「分身」としてパリに渡った弟・昭武の屋敷、戸定邸のある戸定歴史館では、近年発見された政権返上(大政奉還)に関する重要資料や、徳川家秘蔵の文書類によって、維新史、慶喜家の歴史を新たな視点で読み解きます。慶喜の旧居・紺屋町邸跡(現・浮月楼)に隣接する静岡市美術館では、洋学の最高峰・幕府開成所ゆかりの画家たち、川上冬崖、中嶋仰山、高橋由一、島霞谷、川村清雄らの作品と慶喜の油彩画を一堂に公開します。徳川慶喜が投げかけるメッセージを、歴史と美術、二つの視点からご覧ください。


公式サイトはこちら
http://www.shizubi.jp/exhibition/future_131102.php
同時開催=松戸市戸定歴史館 詳しくはこちら http://www.city.matsudo.chiba.jp/index/profile/shisetsu-guide/rekishi/tojo/kakiten.html







特別展「西洋美術との出会い-徳島の4人 原鵬雲、井上辨次郎、守住貫魚、守住勇魚」および
記念シンポジウム「幕末明治の地域社会は西洋美術をどう受け容れたのか」


主催:徳島県立近代美術館/徳島新聞社/四国放送/徳島県民文化祭開催委員会
後援:NHK徳島放送局/エフエム徳島/徳島県文化振興財団/明治美術学会
開催場所:徳島県立美術館
開催期間:10月5日(土)~ 12月1日(日)
休館日:月曜日、10月15日(火)、11月5日(火)。10月14日と11月4日は開館します
開館時間:10:00~17:00
観覧料:一般600[480]円/高・大生450[360]円/小・中生300[240]円
※[ ]内は20名以上の団体料金です。



シンポジウム:「幕末明治の地域社会は西洋美術をどう受け容れたのか」


開催場所:徳島県立21世紀館イベントホール(県立近代美術館1階)
対象:明治美術学会会員および一般来館者(事前申込み不要、聴講無料)
日時:2013年10月5日(土)14時―17時

幕末から明治にかけて、西洋的な写実表現を試みる画家が続々と登場しました。日本美術における近代の始まりです。 本展はこの時代に活動した4人をご紹介します。会場に並ぶのは、これまで顧みられることがなかった画家の作品や、 名高い画家であっても、画家の知られざる一面を伝える作品です。
東西の文化が出会った混沌とした世相を背景に描かれた不思議な作品 たち。西洋美術に対する日本人の驚きや憧れが滲んでいます。<美術の正史から漏れ落ちた、近代美術草創期の裾野の広がりをご覧いただけたらと思います。








シンポジウム「日仏の出版文化の出会い――幕末から両大戦間まで」


主催:日仏会館フランス事務所、京都造形芸術大学 
助成:平成25年度日本学術振興会科学研究費・基盤研究C「両大戦間パリにおける挿絵本文化の学際的研究」 no.2452012
後援:日仏美術学会、ジャポニスム学会、日仏図書館情報学会、日本仏学史学会、明治美術学会


日時:2013年9月21日(土)11時―18時
聴講申し込み:日仏会館フランス事務所ホームページ
http://www.mfj.gr.jp/agenda/2013/09/21/20130921livre_illustre/index_ja.php
のイベントカレンダーからお願いします。

プログラムはこちら
http://www.mfj.gr.jp/agenda/_data/livre_illustre_flyer.pdf



企画趣旨: 1920年代のパリでは盛んに日本関連の豪華挿絵本(絵入り本)が出版され、その大半を当時、現地に定住していた画家の藤田嗣治が担当していました。いずれもが単なる異文化趣味に終始せず20年代パリらしいモダンな出版物となっているのは、藤田の才覚だけでなく、そこに関わった出版人、編集者、版画工房などパリが育んでいた豊かな出版文化、そしてもちろん日本の出版文化の出会いがあってのことでした。このシンポジウムでは、幕末から両大戦間にかけての日本とフランスの出版文化をテーマに、美術史、文学、比較文化等の研究者が集います。戦前の日仏美術交流には年来の作品・作家研究の蓄積がありますが、従来の美術と文学との相互影響関係や、作家の異文化受容の議論を踏まえつつ、あらたに縦組みや横組み、綴じなど書籍の物理的な形式や造本、さらには出版状況等にも注目し、その比較検討を試みます。





『尾崎文彦の元気 無垢の眼Ⅱ』
花岡萬舟 戦争画の相貌Ⅱ
開催場所:早稲田大学會津八一記念博物館
開催期間:5月20日(月)~ 7月6日(土)
休館日:日曜日
開館時間:10:00~17:00

花岡萬舟は、満州事変や上海事変などに従軍し、戦場の風景を写し取った画家です。当館では、2006年度に住野重樹氏より57点の花岡萬舟による戦争画作品の寄贈を受けました。多くの作品が著しく損耗していましたが、2011年度に全ての修復を完了しました。今回は、これまで未公開であった作品を展示します。
 戦争画を通じて、そこに描き出された近現代日本の一側面と、その背景に存在していた思想や社会のあり様を、もう一度見つめ直します。 公式サイトはこちら
http://www.waseda.jp/aizu/2013/2013exhibitions/kikaku/hanaoka-2013/hanaoka-2013.htm





木村荘八展

東京ステーションギャラリー再開記念
生誕120年 木村荘八 展


主  催  東京ステーションギャラリー(公益財団法人東日本鉄道文化財団)、東京新聞
企画協力 一般社団法人春陽会

会 期 :2012年3月23日(土)~5月19日(日)[会期中に展示替えあり]
休館日 :月曜日 [月祝の場合は開館、翌火曜休館]

入館料 :一般 900円 大高生 700円 中小生 400円
     ※20名以上の団体は100円引
     ※障害者手帳等持参の方は100円引、その介添者1名は無料



 大正元年に画壇にデビューし気鋭の洋画家と目された木村荘八。大正期は、西洋の先進的な美術情報を積極的に集め、得意の語学力を用いて精力的に紹介、同時に自らの絵の行く先を模索しました。その先にあったのは、彼のよく知る身近な「東京」という題材でした。舞台美術を考案し、小唄の師匠をするなど、幅広い面を持つ文化人であった荘八のことを、交友のあった文芸評論家は、「生粋の江戸っ子」であり、「東京にまみれた」人だと評しています。

木村荘八(きむら・しょうはち:1893-1958)は、明治26年、東京・日本橋のいろは牛肉店第八支店(東日本橋)に生まれました。<京華中学校卒業後、いろは牛肉店第十支店(浅草)の帳場をまかされます。同時に、兄・荘太の影響で文学や洋書に興味を持って読みふけり、小説を書くなどしますが、明治44(1911)年、長兄の許しを得て葵橋洋画研究所(旧白馬会研究所)に入り、画家を志します。

そして、岸田劉生(きしだ・りゅうせい)に出会い交流を深め、大正元(1912)年、斎藤與里(さいとう・より)の呼びかけで劉生らとともにフュウザン会の結成に参加、翌年には東銀座(采女町)のいろは牛肉店第三支店を離れて独立、美術に関する翻訳や執筆を続けながら、洋画家として活躍を続けました。大正4(1915)年、草土社の結成に参加、大正7(1918)年に第5回日本美術院展で樗牛賞を受賞、同年から院展洋画部に出品しました。大正11(1922)年の春陽会設立に客員として参加し、2年後には正会員となり、同会にて代表作を発表、昭和11(1936)年からは事務所を引き継ぎ、会の運営を支えました。

大正13(1924)年以降、挿絵の仕事が増え、昭和12(1937)年に永井荷風の新聞連載『ぼく(さんずいに墨)東奇譚』の挿絵を担当、東京の下町風俗を独特のタッチで情緒深く表現し、大衆の大人気となりました。彼は西欧の美術を翻訳紹介するグローバルな視野を持ちながら、江戸につらなる感覚、身近な風景、そこに住む大衆の風俗といった、自らが住む東京を幅広く、時には狭く深く切り取りながら、絵や文章で表現しました。その集大成ともいえる『東京繁昌記』(没後の刊行)の絵と文により、亡くなった翌年の昭和34(1959)年、日本芸術院賞恩賜賞を受賞したのでした。

本展では、荘八の代表作《パンの会》(1928)、《牛肉店帳場》(1932)、《浅草寺の春》(1936)といった油彩等約70点、『ぼく東奇譚』34点(1937)、『東京繁昌記』数十点(1955頃)の挿絵原画に加え周辺作家の作品も紹介します。東京での20年ぶりに回顧展にて、荘八描く東京界隈をお楽しみ下さい。


公式サイトはこちら
http://www.ejrcf.or.jp/gallery/now.html









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